第十八章
  真実不虚 故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰

「嘘じゃないから真実だ」(真実不虚)
なんて訳にしないでね。
さすがのゲンちゃんも泣くぜ。
アホじゃないんだからさぁ・・・。

本来は第十七章に入れるフレーズだ。
「能除一切苦」にかかるフレーズだ。
だけど、まぁ、いいかぁ・・・
字数的にこの章にまわしたのだ。
そういうのって、アリ?
アリなんだよ。
それが「真実不虚」って意味だから。

何でも認める。
そうすれば、嘘も偽もなくなる。
最後の(最高の)呪の姿なのだ。
真実も嘘もこだわらないで認めようぜ。
すると、苦しみが無くなるのさ。

真実と嘘の違い。
それは「こだわり」だけだ。
「こだわり」が無い人には違いが無い。
真実にこだわる人は、嘘や偽がいっぱいある。
それは「苦」を呼んでしまうのだ。

ブッちゃんは「こだわり」が無い。
当然、真実と嘘の違いはない。
それぞれの区別はあるが、両方とも真実だ。
この世の全ては、真実だ。
あるいは・・・全ては幻だ。
どっちだっていい。

真実に嘘は無い。
全てが真実だから、この世に嘘は無い。
あるのは「こだわり」だ。
「こだわり」が嘘や偽や正や真をつくる。
立場の違いの不認が嘘や偽をつくる。

立場の違いの不認が偽や嘘をつくる。
何でも認める柔らかさが、偽や嘘を消していく。
真実や正しさにこだわると、幸せになれない。
平和を壊すのは、いつだって正義や真実にこだわる人だ。

何でも認めるといっても、条件がある。
他を犯(侵)さないのは原則だ。
正義や真実の大義名分の下に他を侵すのを戦争という。
戦争だけは認められない。
(個では暴力や殺人などなど・・・)

「真実不虚」を字面で訳すと意味が無くなる。
嘘の無い真実・・・真実だから嘘じゃない・・・。
そんな訳は役立たず(駄洒落です・・・)。
「真実不虚」の真意。
全てを認めると開かれてしまう。
つまり・・・ブッダ(開かれた人)になる。

「真実不虚」は、この呪の本質だ。
「能除一切苦」は、この呪の作用だ。
呪を唱えていると「こだわり」が無くなる。
一応、無くなる。
無くなるはず・・・なんだけどなぁ。
毎日唱えている坊さん達・・・
そうでもないんだよなぁ・・・。

この世は理がストレートに反映されない。
多種多様なモノ達がひしめき合っている。
多種多様な理もひしめきあっている。
一つの真実が解っても、例外が沢山あるのだ。
この世の存在は、そういう風に創られた。
だから、この世は面白い。

ならば経や呪は無駄か?
そうでもないんだなぁ。
方向に進む事はできる。
だが、決めるのは本人。
決まるのは、その他の影響もあるんだなぁ。

未だに真実が一つだと思っている人が多い。
名探偵コナン少年もその一人だ。
「真実は一つだ!」
それを見破ったと思い込む。
名探偵は驕りがあるからなぁ・・・。

事実と真実も混同する。
事実は一つかもしれないが、
真実は星の数ほどある。
たった一つの星の分析をしただけなのに。

その勘違いを指摘した言葉。
「真実不虚」は、広く深い言葉だと思うぜ。
嘘や偽は一つも無い。
全てが愛おしいほどの真実だ。
それを心経は説明しているんだぜ。
狭っ苦しい解釈はやめようぜ。

優れた経は多重の意味を持つ。
「真実不虚」も般若心経の本質となる。
全てが真実で嘘は何処にも無い。
慈愛や慈悲と同じ意味に通じる。

苦しみは小さくなっていただきたい。
楽に生きていただきたい。
心も身体も軽くなっていただきたい。
ブッちゃん(仏陀)は、そう思ったのだ。

「こだわるなよ」
「この世はイイカゲンだぜ」
「全て認めて生きようぜ」
「大丈夫だ。いい方法がある」
仏教の本質は優しさだ。
真実の追究じゃない。

真実は全てだから、追究しなくてもいい。
全てが真実だから、理解する必要も無い。
ただ受け入れるだけでいい。
ただ認めるだけでいい。
条件を付けず、愛するだけでいい。

キリちゃん(イエス)も同じ事を言ってた。
「愛のみ」
アレしてはいけない。
コレしなくてはいけない。
そんな事は、後の教会が言い出したのだ。
聖書はキリちゃんが書いたモノじゃないぜ。

一部の人だけが恩恵を受ける。
そんなモノは経でも教えでもない。
そんな宗教はニセモノだ。
信じようが信じまいが同じだ。
全てに恩恵がある。
般若心経の呪は、全てが同等なのだ。

全て真実。
全てを認める。
全てを愛する。
それは「生きるを愛する」という意味だ。

生きる事を愛する。
すると「苦」は、思ったよりも小さいと気づく。
無くなる「苦」も多いと気づく。
事態も未来も好転する。
「般若」ってのは、そういう「智」だ。
知るだけでも、好転するのだ。

更に「呪(真言)」をサービスするぜ。
使えば、諸々が好転する。
誰だって使える。
周りも好転の影響がある。
般若心経の呪は、優れモノだぜ。

「能除一切苦・真実不虚」と言った。
この言葉はブッちゃんの優しさを大きく感じる。

全てが、あるんだぜ。
全て、生きているんだぜ。
生きてる事は愛おしい事だ。
生きている事は素敵なんだぜ。

生きている事が愛おしいと気づく。
皆、生きている事に慈しみを感じる。
するとな、
苦しみは取り除かれるんだぜ。

誰でも生きている。
だから、誰でも苦しみを無くせる。
心配するなよ。
大丈夫だ。

ここまでが心経の説明だった。
ここまでが、この世の仕組みの説明だった。
ここまでがブッちゃんの言葉だった。
ここまでが生き方の教えでもあった。

この先は呪(真言)だけだ。
通常、呪は密教にされる。
もったいぶっているわけじゃない。
理屈では伝わらないからだ。
理屈を外れているからだ。
そして、時には使い方で危険だからだ。

だが、この呪は最高無上比類無き呪だ。
だから、公開しちゃおう。
ここがブッちゃんらしい扱いだろ。
最高だから、誰にでも教えてしまう。
ホンモノだから、公開するのだ。
誰でも、遠慮なく、堂々と使ってくれ。

ワシ的訳。
(前章の能除一切苦にかかる)
「この世の出来事は全部真実だと認めてくれよ。
嘘もデタラメも真実だぜ。
だから、お前ぇ等も真実の人間だ。
真実のケモノだし、真実の妖怪だぜ。

真実から外れた嘘なんて無ぇ。
大丈夫だ、この世にいるモノは皆同じだ。
全てを認めると、苦しみは取り除かれるように出来ている。
この呪を唱えると、全てを認められるようになる。
つまり、苦しみが無くなるってことだ。
それが、この般若の呪だ。

自分だけじゃ無ぇぞ。
誰かが唱えりゃいい。
心の中で唱えてもいい。
行いで示してもいい。
全てを認めるってことをよ。」

「今までアレコレ話してきたけど、忘れてもいいぜ。
空とか無とかの説明なんか、知りたいヤツだけでいい。
覚えるのは呪の部分だけだ。
短けぇから覚えられるはずだ。

実際に役に立つ経は少ねぇんだ。
ほとんどが理屈だからよ。
理屈は屁みたいなもんだ。
マトモに受ければ臭ぇ・・・。

だけど、この般若心経は役に立つぜ。
最後の呪の部分だけだけどな。
これからそれを教えるよ。
期待してもいいぜ

 

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